- 白内障になったら車の運転は?
- このような方は要注意!白内障手術を検討するタイミング
- 白内障による交通事故のリスク
- 運転免許の取得・更新に必要な視力・視野
- 運転免許の更新期間
- 免許更新前に視力検査及び眼鏡作成をご希望の方
- 免許更新の視力検査を不合格になったら
- 免許の更新ができなかったら
- 白内障手術後の運転
- 視力だけじゃない!緑内障(視野障害)による運転の危険性
白内障になったら車の運転は?
患者さんの中には、日常生活において車の運転が不可欠な方も多いと思います。しかし、目は加齢とともに様々な症状を引き起こす器官であるため、視力が低下して車の運転ができなくなることに不安を感じている方も少なくないと思います。
特に白内障を発症すると、視界がかすむ、視界がぼやける、光をまぶしく感じる、視力が低下するなどの症状を引き起こすため、運転免許の更新時に異常を指摘されて免許更新が行えないケースもあります。そのため、日頃から自身の目の状態や見え方を片目ずつ確認し、少しでも違和感が生じた際にはできるだけ早い段階で眼科を受診し、検査や治療を行うことが大切です。
このような方は要注意!白内障手術を検討するタイミング
- 運転中に対向車のライトを過剰にまぶしく感じる
- ライトを見ても、その後ライトの残像が生じない
- 夜間の運転で視界の悪さを感じる
- 運転免許の更新時に目の異常を指摘された
いつまでに白内障手術を受けたらいい?
現在、白内障は手術によってほぼ健常者と同等の視力まで回復させることが可能な病気です。手術そのものは日帰りで行うことが可能なため比較的短時間で終了しますが、手術前の検査や手術後の治療も加えるとトータルではある程度の期間が必要です。また、目に挿入する眼内レンズによっては取り寄せるのに時間を要することもある他、手術後の視力の回復度合いにも個人差があります。
そのため、運転免許更新までに自身の視力を改善したい場合には、ある程度ゆとりを持って医療機関を受診し、検査や治療を開始することが大切です。
いつ頃から受診すれば良いか分からない場合には、お気軽に当院までご相談ください。
白内障による交通事故のリスク
白内障は、進行がゆっくりなため、ご自身では視力低下の自覚がない患者さんもいらっしゃいます。重度の白内障になると視界がかすむ、視界がぼやける、光をまぶしく感じる、視力が低下するなどの症状を引き起こすため、運転が困難になります。実際に白内障に罹患している方の交通事故の割合は、健常者に比べて2.5倍であるという報告もあるため、注意が必要です。
運転免許の取得・更新に必要な視力・視野
運転免許の新規取得や更新の際に必要な視力は法律により定められています。下記は、免許の種別毎に必要な視力の基準となります。なお、これら基準は眼鏡やコンタクトレンズなどの矯正によって満たしても問題ありません。
普通自動車第一種免許(普通自動車免許)・二輪免許(普通・大型)・大型特殊免許・中型免許(8t限定)・準中型免許(5t限定)に必要な視力
- 左右の視力がそれぞれ0.3以上で、かつ両目の視力が0.7以上。
- 片方の視力が0.3未満の場合は、もう片方の視力が0.7以上かつ視野が150度以上。
原動機付自転車免許(原付免許)・小型特殊免許に必要な視力
- 左右の視力がそれぞれ0.1以上で、かつ両目の視力が0.5以上。
- 片方の視力が0.1未満の場合は、もう片方の視力が0.5以上かつ視野が150度以上。
大型自動車第一種免許(大型免許)・中型免許(限定なし)・準中型免許(限定なし)・けん引免許・普通自動車第二種免許に必要な視力
視力
- 左右の視力がそれぞれ0.5以上で、かつ両目の視力が0.8以上。
- 片方の視力が0.5未満の場合は、免許の新規取得・更新は不可。
深視力
- 2.5メートルの距離から三棹法の奥行知覚器によって3回計測し、平均誤差が2センチ以内。
※当院では三棹法の奥行知覚器による検査は実施していないため、事前に練習したい場合にはお近くの眼鏡店などをご利用ください。
運転免許の更新期間
運転免許の更新手続の際に与えられている期間は、誕生日の1ヵ月前〜1ヵ月後までの2ヵ月間となります。視力は加齢などによって急激に低下することもあるため、今までのように免許更新を行った際、上記の視力を満たさずに更新が行えないケースも見られます。そのため、免許更新の時期が近づいてきましたら、眼科にて視力検査や現在ご使用中の眼鏡・コンタクトレンズの確認を行っておくことを推奨しています。特に何らかの目の病気が発見された際には治療に一定の期間を要することもありますので、ゆとりを持って自身の目の状態を把握しておくことが大切です。
免許更新前に視力検査及び眼鏡作成をご希望の方
免許更新に先だって眼鏡の新規作成をご希望の場合には、最低でも免許更新期間の1ヵ月前までにご来院ください。眼鏡の作成には時間を要することもあるため、直前の作成では免許更新に間に合わないケースもあります。
受診日には、現在ご使用中の眼鏡を装用して視力検査を実施します。検査の結果、免許更新の基準を満たさない場合には、眼鏡の新規作成を推奨しています。また、何らかの目の病気が隠れている場合もあるため、精密検査も合わせて実施します。
検査後、眼鏡の度数を調整して免許更新の基準を満たすことができた際には、眼鏡の処方箋を発行いたします。処方箋はどの眼鏡店でも使用可能ですので、患者さんのお好みの眼鏡店にて眼鏡を作成してください。
なお、当院では新たに作成した眼鏡による視力検査も実施しております。どうぞお気軽にご相談ください。
免許更新の視力検査を不合格になったら
免許更新の際、視力検査で不合格になったとしても後日再度検査を行うことが可能です。そのため、免許更新はできるだけ早く行うようにしましょう。
免許の更新ができなかったら
免許更新の際、視力検査で不合格となって期間内に合格できなかった場合には、猶予期間がその後6ヵ月間与えられます。従って、白内障などを発症して更新期間内に免許更新が行えなかった場合には、早急に治療を行って6ヵ月以内に再度更新手続きを行ってください。ただし、更新手続きが完了するまでの期間は一時的に免許が失効しますので、その間は運転をしないよう注意しましょう。
なお、治療に時間がかかるなどの理由によって猶予期間の6ヵ月間にも再検査が行えなかった場合には、医師による診断書が必要になります。
白内障手術後の運転
白内障の手術を行っても、視力が安定するまでには約1週間かかります。そのため、手術直後の運転は控えてください。また、近視や乱視の影響で、術後に新たに眼鏡を作製しないと運転ができない場合もありますので、ご注意ください。
また、手術によって視力が回復したとしても見え方が以前とは異なるため、慣れるまではあまり遠方の外出は控え、近場を運転しながら徐々に慣れていくようにしましょう。
視力だけじゃない!緑内障(視野障害)による運転の危険性
運転免許は、視力検査で基準を満たせば免許の更新が行えます。ただし、免許更新の際の視力検査では精密な視野検査までは行いませんので、緑内障などを発症して視野に障害が起きている場合には自主的に運転は控えてください。
緑内障で視野障害を起こすと、視野の一部が欠損する、視野が狭くなるなどの症状が現れます。また、片方の目だけ視野障害を起こしている場合には、もう片方の目が視野を補うために本人も気付かないケースがあるため、注意が必要です。特に緑内障は進行が緩やかであることから、発症に気付かずに運転していると、信号機を見落としたり車や歩行者の接近に気付かずに重大な事故を引き起こす恐れがあります。そのため、少しでも視野に違和感が生じたら、しばらく運転は控えて早急に眼科を受診するようお願いします。