- 朝起きたら、目やにがべったりついていた
- 目やにが出る際の症状
- 片目だけ目やにが出ることもある?
- 目やにが止まらない原因
- 目やにが止まらないとき市販薬を使っていい?
- 感染力の強い「アデノウイルス(流行性角結膜炎、はやり目)」に注意
朝起きたら、目やにがべったりついていた
目やには目の老廃物を排出するための生理現象の一つのため、起床時に目やにが多少付いていても特に問題はありません。洗顔をして目の周りを清潔にしましょう。
しかし、普段よりも目やにの量が多い、目やにの色が違う、目やにが粘性を伴う、目がかゆい、白目が充血しているなどの症状が現れている場合には何らかの目の病気が隠れている可能性があり、注意が必要です。
目やにが出る際の症状
目やには目が新陳代謝を起こした際の老廃物や、涙の水分が蒸発したあとに残った涙の成分の一部です。しかし、目に何らかのトラブルが発生すると、目やにの量や質に変化が生じます。
以下は、代表的な目やにの変化になります。
色が濃くてドロドロ、ネバネバ
目に何らかのトラブルが発生すると、ドロドロやネバネバといった粘性を伴う目やにが多く出ることがあります。中には膿のような黄白色で糸を引くほどの粘性の目やにが出ることもあります。細菌感染などの病気が疑われます。
サラサラしている
上記とは反対に、透明で水のようなサラサラとした目やにが出ることもあります。この場合には目やにとは気付かずに涙と勘違いしてしまうこともあります。ウィルス感染などの病気が疑われます。
透明あるいは白っぽい
両目から透明や白色で粘性の高い目やにが出ることがあります。このような症状は一般的に3月中旬〜6月ごろに多く見られる傾向があります。アレルギー性結膜炎などの病気が疑われます。
片目だけ目やにが出ることもある?
ドロドロ、ネバネバとした粘性の高い目やにの原因の多くは、目が細菌や真菌に感染することで引き起こされます。また、感染が原因の場合には片目のみ症状が現れる特徴があります。
目やにが止まらない原因
目やにの量や質が変化した場合には、以下のような目の病気の疑いがあります。
細菌性結膜炎
細菌性結膜炎とは、目に黄色ブドウ球菌や肺炎球菌細菌、淋菌などが感染することで結膜が炎症を起こす病気です。主な症状として、黄白色で糸を引くような粘性の高い目やにが出る特徴があります。
一般的に、黄色ブドウ球菌による感染は大人に多く見られ、肺炎球菌細菌による感染は子どもに多く見られます。
一方、性交渉などで感染する可能性がある淋菌が原因菌の場合には黄白色の目やにとともに大量の膿が排出される特徴があり、放置すると角膜に穴が空いて失明へと至る恐れもあるため、注意が必要です。淋菌感染は視力障害が後遺症として残ったり、一般的な点眼薬だけでは治療が難しい場合があります。適切な治療をするためにも、ご自身で思い当たる原因がある場合は主治医にお伝えください。
細菌性結膜炎の治療
細菌性結膜炎の治療では、検査によって原因菌を特定し、原因菌に合わせて抗菌薬や抗炎症薬などの点眼治療を行います。点眼薬は市販のものでも症状が改善することもありますが、2~3日使用しても症状が改善しない場合には眼科を受診してください。なお、原因が細菌ではなくウイルス感染の場合には目やに以外の症状を伴うことが多いため、その際には眼科医による専門的な治療が必要になります。
ウイルス性結膜炎
ウイルス性結膜炎とは、アデノウイルスなどが目に感染することで結膜が炎症を起こす病気です。主な症状として、透明で水っぽく粘性の低い目やにが出るなどの特徴があります。
原因となるウイルスの中でも最も多いのがアデノウイルスです。アデノウイルスによって引き起こされるウイルス性結膜炎は流行性角結膜炎と言い、一般的には“はやり目”とも呼ばれています。流行性角結膜炎の特徴は、多量の目やにの他に目の充血や目のかすみ、涙目、まぶたの腫れやむくみなどが挙げられます。また、流行性角結膜炎は感染力が高いため、確定診断された際には登園・登校の停止が必要になります。家庭内で感染を拡大させないために、家族間でタオルの共用などを行わないよう、注意が必要です。
ウイルス性結膜炎の治療
ウイルス性結膜炎は細菌性結膜炎と異なり、有効な特効薬はありません。従って、治療では抗炎症薬や抗菌薬などの点眼薬を使用して症状や細菌感染を抑制する対症療法が中心となります。一般的に治癒までに7~10日程かかります。点眼を開始する事で症状は軽快しますが、きちんと点眼を継続して頂き約1週間後の診察でウィルス性結膜炎の治癒の診断を受けてから点眼を中止してください。治療が中途半端になると、角膜上皮下混濁(黒目の混濁)が残ってしまい、視力障害やまぶしさが後遺症として残ってしまう場合があります。
アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎とは、目にアレルゲンが混入することで様々な目の症状を引き起こすアレルギー疾患です。主な特徴として、目の痒みや目の充血、涙目などの他、白色や透明で粘性の高い目やにが多く出るなどが挙げられます。
アレルギー性結膜炎には、花粉などによって特定の季節にのみ発症する季節性アレルギー性結膜炎と、ハウスダストなどによって1年中発症する通年性アレルギー性結膜炎の2種類があります。
ご希望があれば、血液検査でアレルゲン(アレルギーの原因)を調べることが可能です。
アレルギー性結膜炎の治療
アレルギー性結膜炎の治療では、症状が軽度の場合には抗アレルギー点眼薬を使用し、重度の場合にステロイド点眼薬などを使用して症状を緩和させます。ステロイド点眼薬は副作用で眼圧が上昇し緑内障になるリスクがあるため、定期的な眼圧検査・診察が必要になります。
ドライアイ
ドライアイとは涙の量や質が変化することで目が慢性的に乾燥する病気で、加齢やコンタクトレンズの長時間使用、長時間のパソコン作業といった目の酷使などによって引き起こされます。主な特徴として、目の痛みやかすみ、涙目などの他、透明や白色の目やにが出るなどが挙げられます。
ドライアイの治療
症状が軽度の場合には涙を補う点眼薬を使用して症状の改善を図ります。一方で症状が重度の場合には、涙の排出口である涙点にプラグを差し込んで目の乾燥を防ぐ治療を行うこともあります。また、ドライアイは目の酷使やコンタクトレンズの長時間装用などが原因であることが多いため、生活習慣の改善を行うことも治療や予防には大切です。ホットアイマスクで目を温めることも有効です。
目やにが止まらないとき市販薬を使っていい?
目やにが多く出る原因には様々なパターンがあるために一概には断定できませんが、症状が軽度の場合には市販の点眼薬等で症状が改善することもあります。
しかし、市販の点眼薬を2〜3日使用しても症状が改善しない場合には、眼科を受診して更に詳しい状態を確認する必要があります。
感染力の強い「アデノウイルス(流行性角結膜炎、はやり目)」に注意
アデノウイルスとは
流行性結膜炎とは一般的に“はやり目”と呼ばれている病気であり、アデノウイルスに感染することで引き起こされます。主な症状は目の充血や多量の目やにですが、重度の場合には角膜混濁を引き起こしたり、まぶたの裏側に白い偽膜を形成して角膜に傷ができることもあります。
また、流行性結膜炎は感染力が非常に強いことも特徴であるため、確定診断された際には家庭内で感染を拡大しないように、家族間でタオルの共用などを行わないように注意しましょう。アデノウィルス感染と診断された場合は登園・登校の停止が必要になります。
アデノウイルスの症状
目にアデノウイルスが感染すると、5日~2週間の潜伏期間を経て目の充血や目やにが多く出る、涙目、光をまぶしく感じる、まぶたが腫れやむくみを起こすなどの症状が現れます。また、目以外にも耳前のリンパ節に腫れや痛みを伴うなどの症状が現れることもあります。その他では、発症から1週間ほど経過した段階で角膜に点状の濁りが出現して視力低下や眩しさを認めることもあります。
アデノウイルスの治療
ウイルス性結膜炎は細菌性結膜炎と異なり、有効な特効薬はありません。そのため、治療は症状を緩和させるための点眼薬の使用や栄養補給、十分な睡眠の確保などを行って症状の緩和を図る対症療法が中心となります。また、周囲への感染を抑制するための抗菌作用のある点眼薬を使用したり、症状が重度の場合にはステロイド点眼薬を使用することもあります。
アデノウイルスにかかってから治るまでの期間
一般的に流行性角結膜炎は発症から7日〜14日で自然治癒するケースが多く見られます。しかし、症状が重度の場合には1ヵ月ほどかかる場合もあるため、その間は十分な栄養補給や睡眠時間の確保などを行い、安静状態を保つことが大切です。