このような見え方や不調はありませんか?
以下のような症状が現れている場合には、一度当院までご相談ください。
- 視野が狭くなったように感じる
- 視野の中心部分が黒っぽくなって見えづらい
- ものが歪んで見える
- 歩行時によく、ものにぶつかる
- 急激に視力が低下した
- 飛蚊症(小さなゴミやひものようなものが浮いているように見える)
- 光視症(目を動かしたり閉じるときに一瞬イナズマが見える)
など
網膜の病気について
人はものを見ると、網膜に入った光の情報が電気信号に変換されて脳へと伝達されます。そのため、網膜に何らかの障害が生じると、視力低下や視野欠損、失明などの症状を引き起こします。代表的な網膜の病気としては、加齢黄斑変性や網膜剥離、糖尿病網膜症などが挙げられます。
網膜疾患の治療では、レーザーによる網膜光凝固術や硝子体注射、硝子体手術などが実施されます。当院では、経験豊富な日本眼科学会認定眼科専門医が硝子体手術を実施しております。手術は日帰りで行えるため、日常生活に負担をかけずに治療を行うことが可能です。また、患者さんの容体に応じて入院治療が必要と判断した場合には、当院と連携する高度医療機関をご紹介いたします。
網膜とは
網膜とは眼球の一番奥に位置する膜で、カメラのフィルムの役割を担っている組織です。厚さは中央部で0.3〜0.4mm、周辺部は0.15mmほどで、この内部に多くの血管や神経が集中しています。
硝子体とは
硝子体とは、眼球内を満たしている無色透明のゼリー状の物質です。硝子体は正常な状態では十分に眼球内を満たしているため、眼球は張りと弾力を保持しています。しかし、加齢とともに徐々に硝子体は収縮し、液体部分とゼリー状部分に分離するようになります。
主な硝子体疾患
代表的な硝子体の病気としては、網膜裂孔や網膜剥離、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性、黄斑円孔、黄斑前膜、糖尿病網膜症などが挙げられます。
網膜裂孔
網膜裂孔とは、加齢とともに硝子体が収縮を起こした際に網膜を損傷し、亀裂や穿孔を起こす病気です。主な症状としては、光視症と飛蚊症が挙げられます。
網膜裂孔による光視症とは、硝子体が網膜を引っ張る際の刺激を脳が光として認識することで、目を閉じたり動かしたりした時に稲妻のようなものが見える状態です。一方、網膜裂孔による飛蚊症とは、網膜が裂孔を起こすことで微細な出血が生じ、視界にゴミやひも状のものが浮いているように見える状態です。
網膜裂孔の治療
網膜裂孔は、進行すると裂孔部分から硝子体の液体成分が網膜の下側に入り、網膜剥離を引き起こします。そのため、治療では裂孔部分の周囲にレーザーを照射して凝固させる網膜光凝固術(網膜レーザー治療)を行います。
網膜剥離
網膜剥離とは、正常な状態では眼球の奥に張り付いている網膜が何らかの原因によって剥がれてしまう病気です。主な原因は網膜裂孔からの進行で、全体の8割以上を占めます。その他では、ぶどう膜炎や糖尿病の合併症として起きる非裂孔原性網膜剥離が挙げられます。
網膜剥離の治療
裂け目ができている場合
網膜剥離は、初期の段階では網膜に裂孔が生じて裂孔周囲の網膜が少しだけ剥がれます。この段階で発見できれば、前述の網膜裂孔と同様に網膜光凝固術によって裂孔部分の周囲をレーザーで凝固させることで、進行を抑制できます。
網膜が剥がれている場合
すでに網膜が広範囲に剥がれている状態まで病状が進行している場合には、硝子体手術や強膜バックリング法などを実施して剥がれた網膜を元の位置に固定する手術を行います。
網膜静脈閉塞症
網膜静脈閉塞症とは、何らかの原因によって網膜の静脈が閉塞を起こしている状態の病気です。主な原因は、高血圧や動脈硬化です。病状が進行して黄斑浮腫が生じた場合には、レーザー治療や抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)剤を硝子体内に注入する処置が行われます。
網膜静脈閉塞症の治療
視力低下がない場合
網膜静脈閉塞症は初期の段階では自覚症状に乏しく、視力低下などの症状は現れません。しかし、病状が進行すると網膜に脆い新生血管が発生・破裂し、硝子体出血を起こして重篤な視力低下を引き起こす恐れがあります。
そのため、網膜静脈閉塞症が確認された場合には定期的に眼科を受診し、経過観察を行う必要があります。病状が進行した場合には、レーザーによる網膜光凝固術や内服治療を実施して進行を抑制します。
視力低下がある場合
病状が進行して視力低下などの症状が現れている場合には、硝子体注射によって抗VEGF薬やステロイド薬を硝子体内に直接注入したり、網膜光凝固術、硝子体手術などの外科手術を検討します。
加齢黄斑変性
加齢黄斑変性とは、加齢が原因で網膜の中央部分に位置する黄斑に障害が生じ、視野の中心部分が見えづらくなる病気です。
加齢黄斑変性は、新生血管の発生が原因の滲出型と、黄斑が萎縮していくことが原因の非滲出型(萎縮型)の2種類に分類されます。日本人は主に滲出型が多く、欧米人は非滲出型(萎縮型)が多い傾向があります。
加齢黄斑変性の治療
滲出型の場合には、硝子体注射によって抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)剤を硝子体内に注入して新生血管の発生を抑制します。ただし、新生血管を完全に退縮させるには定期的に繰り返し注射を行う必要があります。また、病状の程度によっては光線力学療法を合わせて行うこともあります。
糖尿病網膜症
糖尿病を発症すると、血糖値の上昇によって全身の血管が損傷を起こして様々な合併症を引き起こします。そのうちの一つが、網膜の毛細血管が損傷する糖尿病網膜症です。
糖尿病網膜症を発症すると、網膜に出血を起こす他、網膜剥離や失明などの重篤な症状を引き起こすため、注意が必要です。
糖尿病網膜症の治療
糖尿病網膜症の治療では原因疾患である糖尿病を治療することが重要になります。そのため、血糖値のコントロールを行いながら眼科にて眼底検査を実施して網膜の状態を確認し、網膜症の進行が確認された際にはレーザー治療や硝子体手術などを実施します。
黄斑円孔
黄斑円孔とは、黄斑という網膜の中心部分に穿孔が起こる病気です。穴の直径0.5ミリメートル程度の微小なものですが、穴が網膜の中心部分に生じることで視界に大きな悪影響を及ぼします。また、穴が完全に形成されると矯正した状態でも視力が0.1前後まで低下するため、注意が必要です。
主な原因は、後部硝子体剥離(加齢によって硝子体が収縮・剥離を起こすこと)と考えられており、後部硝子体剥離の発症率が多い60代を中心に、その前後の年齢層にも多く見られます。また、女性や元々近視の人に多く発症する傾向もあります。
黄斑円孔の治療
黄斑円孔の治療では、一般的に硝子体手術という治療法を行います。これは、黄斑円孔の周囲を引っ張っている硝子体を除去し、代わりに空気か医療用ガスを注入して円孔を塞ぐ手術法です。
黄斑前膜
黄斑前膜とは、網膜の手前に膜が張られることで黄斑が歪んでしまい、視力に障害が生じる病気です。主な原因は黄斑円孔と同様に加齢による硝子体収縮と考えられており、女性に多い特徴があります。
黄斑前膜の場合は黄斑円孔のように視野の中心部分が完全に見えなくなることはないですが、黄斑円孔よりも発症率が高い傾向があります。
黄斑前膜の治療
黄斑前膜の治療では、硝子体手術によって黄斑前膜を除去することで視機能の改善が期待できます。
硝子体出血
硝子体出血とは、網膜で起きた出血が硝子体に混入することで様々な視力障害を引き起こす病気です。硝子体に混入した血液によって外部からの光刺激が遮られ、視力低下や視界のかすみ、飛蚊症などの症状が現れます。
加齢黄斑変性や網膜静脈閉塞症、後部硝子体剥離、網膜裂孔、網膜剥離、糖尿病網膜症などの病気や眼球打撲によって引き起こされます。
硝子体出血の治療
網膜剥離を伴わない場合
初期の段階で混入した血液量が少量の場合には自然に吸収されて消失することもあるため、経過観察を行います。ただし、血液が全て吸収されなかった場合には硝子体手術によって混入した血液を除去する治療を行います。
網膜剥離を伴う場合
硝子体出血で網膜剥離を起こしている場合には、早急に硝子体手術を行って剥離した網膜を元の状態に戻す必要があります。治療が遅れると失明に至ることもあるため、緊急性を伴います。
硝子体疾患の治療
網膜光凝固術(レーザー治療)
網膜光凝固術とは、レーザーで網膜を凝固させる治療法です。主に網膜静脈閉塞や糖尿病網膜症に対して新生血管の発生を防止するために行ったり、網膜裂孔や網膜格子状変性に対して網膜剥離への進行を予防するためにも行われることがあります。なお、網膜光凝固術は1〜2週間毎に複数回実施する場合があります。
硝子体注射(抗VEGF薬注射)
硝子体注射とは、硝子体に抗VEGF薬を直接注射する治療法です。抗VEGF薬は網膜の新生血管の発生を阻害する効果があるため、主に新生血管の発生が原因で引き起こされる加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症、近視性脈絡膜新生血管症などの治療の際に行います。
硝子体手術
硝子体手術とは何らかの障害が生じた硝子体を除去する治療法で、眼科手術の中でも最も難易度の高い治療法の一つと言われています。
主に網膜剥離や黄斑円孔、黄斑前膜、糖尿病網膜症の治療の際に行います。なお、当院では経験豊富な日本眼科学会認定眼科専門医による日帰り手術を実施しております。