白内障とは
白内障とは、加齢などが原因で水晶体が白く濁る病気です。主な症状は、視力の低下や視界がぼやける、視界が暗く感じる、光をまぶしく感じるなどが挙げられます。
健康な目と白内障の目の違い
水晶体には、外部から入ってきた光を屈折して網膜に像として映し出す役割があります。しかし、白内障によって水晶体が白く濁ることで光の透過率が低下し、網膜に鮮明な像を映し出せなくなって視力やコントラストの低下などの症状を引き起こします。
白内障の症状
下記は主な白内障の症状です。下記に該当する症状が現れている場合には白内障の疑いがあるため、一度当院までご相談ください。
- 視界がぼやける
- 視力が低下している
- 視界がかすんで見える
- 視界が暗く感じる
- 光を眩しく感じる
- 対象物が二重・三重に見える
- 眼鏡の度数が合わなくなった
初期は自覚症状がない
白内障は初期の段階では自覚症状に乏しく、本人も気付かないうちに進行しているケースが多く見られます。特に加齢が原因の場合は進行が緩やかなため、注意が必要です。
以前に比べて上記のような症状が現れている場合には白内障を発症している可能性があるため、一度眼科を受診するようにしましょう。
白内障って失明する場合もあるの?
白内障による失明の可能性は3.2%と報告されており、緑内障に比べると失明のリスクは非常に低いと言えます。また、白内障は手術治療を行うことで失明のリスクを回避することができます。
当院では日帰りの白内障手術を実施しておりますので、気になる症状が現れている場合にはお気軽にご相談ください。
白内障の原因
白内障の発症原因のほとんどは加齢ですが、それ以外にも発症を引き起こすケースがあります。
白内障の主な発症原因は下記となります。
加齢
白内障の最も多い原因は加齢となります。水晶体は水とタンパク質で構成されていますが、加齢によってこれらの成分が変性すると、水晶体が白く濁って白内障となります。
白内障は高齢者の病気と思われがちですが、早い方では40代から症状が現れ始めるケースもあります。一般的に50代を超えると発症リスクが向上すると報告されています。
糖尿病
糖尿病によって高血糖状態が長期間継続すると、水晶体が濁って糖尿病性白内障を合併します。糖尿病は早い方で20~30代から発症することもあるため、若年層でも白内障を発症する恐れがあります。
ステロイド薬
ステロイド薬の副作用で白内障を引き起こすことがあります。一般的にはステロイド内服薬による副作用のケースが多いですが、ステロイド点眼薬を長期使用することでも引き起こすケースがあるため、注意が必要です。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の場合、発症から10〜15年経過すると白内障を合併することがあります。そのため、早い場合で思春期頃からアトピー性白内障を発症するケースもあります。
また、通常の白内障の場合は水晶体の中心部分や周囲の皮質部分から濁りが拡大していくのに対し、アトピー性白内障の場合は水晶体嚢という水晶体を包み込んでいる部分から濁りが拡大する特徴があります。
赤外線や紫外線
赤外線や紫外線を浴び続けると、眼球がダメージを受けて水晶体が濁り、白内障を引き起こすことがあります。
放射線
放射線は人体に深刻なダメージを与えます。実際に、放射線治療を担当する医療従事者は、一般の人に比べて白内障の発症率が高いという報告もあります。また、頭頚部の癌で放射線治療をした既往のある方も白内障の発症率が高くなります。
喫煙
過度な喫煙習慣は、白内障の発症リスクを2~3倍向上させると報告されています。過度な喫煙習慣とは、1日20本以上の喫煙を毎日継続している状態です。
その他
上記以外では、ぶどう膜炎などの病気や外傷も白内障を引き起こす原因になり得ます。
白内障の種類
白内障には、以下のように様々な種類があります。
加齢性白内障
加齢性白内障は加齢が原因で起こる白内障で、白内障全体の90%を占めます。別名老人性白内障とも呼ばれ、一般的に高齢者に多い病気というイメージですが、中には40代から初期症状が現れるケースもあります。
糖尿病性白内障
糖尿病は多くの合併症を引き起こすことで知られている代表的な生活習慣病ですが、合併症の1つに糖尿病性白内障があります。過剰になったソルビトールという糖の一種が水晶体に蓄積されることで発症します。糖尿病が原因のため、若年層でも発症することがあります。
アトピー性白内障
アトピー性白内障とは、アトピー性皮膚炎が起因となって発症する白内障です。糖尿病性白内障と同様に、若年層でも発症することがあります。
外傷性白内障
何らかの原因によって目に外傷を負った際に発症する白内障を、外傷性白内障と言います。主な原因は眼球への直接的な外傷や異物の混入などですが、外傷性白内障は他の白内障よりも進行が早いため、早急に治療を行うことが重要です。
先天性白内障
白内障の中には生まれつき発症しているケースもあります。主な原因は妊娠初期の母体の風疹感染や遺伝が関与していると考えられていますが、遺伝に関してはまだはっきりとは明らかになってはいません。
併発性白内障
併発性白内障とは、網膜変性症やぶどう膜炎などの他の目の病気の合併症として引き起こされる白内障です。
後発性白内障
後発白内障とは、白内障手術を行った患者さんが手術後に起こす白内障です。再発と思われがちですが、白内障手術で原因である濁った水晶体を取り除いているため、再発ではありません。
手術の時に眼内レンズを入れた、水晶体嚢の底の部分で水晶体の細胞が再増殖して混濁を形成します。
主な症状は通常の白内障と同様に、目のかすみや視界がぼやける、光をまぶしく感じるなどが挙げられます。
後発白内障は決して珍しい病気ではなく、白内障手術を行った患者さん全員に発症リスクがあります。治療は短時間のレーザー手術によって改善させることが可能です。
老眼の原因はスマホ?
近年問題となっているものの1つがスマホ老眼です。これは、スマートフォンやタブレット端末を至近距離で長時間視聴し続けることで、目のピント調節機能がけいれんを起こしたり、一時的に調節機能低下して老眼のような症状を引き起こす状態のことを指します。
一般的に50代以上から発症率が向上する通常の老眼とは異なり、小さな子どもや20〜30代の若年層に多く見られる傾向があります。
ただし、スマホ老眼は一過性のため、適度に目を休めたり遠くを眺めることで症状は改善します。スマートフォンやタブレット端末の長時間視聴には注意が必要です。
白内障の検査
視力検査
白内障では視力が低下している場合があるため、視力検査を実施します。しかし、中には視界がかすむ・ぼやけるなどの症状はあっても視力自体は低下していないケースもあるため、その場合にはコントラスト感度視力を測定します。
細隙灯顕微鏡検査
細隙灯顕微鏡とは、細い光を斜め方向から眼球に照射して白内障の症状の程度を調べる検査です。
眼底検査
眼底検査では、網膜や視神経乳頭、脈絡膜などの状態を調べることで、視力低下の原因が他の病気によるものかどうかを確認します。
白内障の治療
白内障の治療は、症状の程度や進行度合いによって異なります。軽症の場合には点眼薬を使用して症状の進行を抑制しますが、中等度以上の場合には視力が低下しているため、外科手術を検討します。
白内障の症状が軽度の場合
症状が日常生活に支障がない程度の軽度の場合には、点眼薬によって症状の進行を抑制します。
しかし、これらはあくまで進行予防であるため、根本的な原因となっている水晶体の濁りを改善することはできません。
点眼薬
症状が日常生活に支障がない程度の軽度の場合には、点眼薬によって症状の進行を抑制します。しかし、点眼薬では水晶体の濁りを改善することはできないため、あくまで進行予防のための治療となります。
眼鏡やサングラスを使う
症状が軽度な場合では、眼鏡やサングラスなどを使用します。これらを着用することにより、視界がかすむ、ぼやける、ピントが合わない、光がまぶしいなどの症状をある程度軽減させることが可能です。
白内障の症状が進行した場合
日常生活に支障をきたすほどの重度な白内障へと進行した場合には、外科手術による治療が検討されます。
手術では、濁った水晶体を超音波で除去し、代わりに眼内レンズという人工の水晶体を挿入する超音波水晶体乳化吸引術という方法が適用されます。
ただし、手術後も眼鏡やコンタクトレンズなどの矯正が必要になることがあります。
免許更新期限が1ヵ月以内であっても白内障手術が間に合うように調整します。
免許更新には期日があります。大きな病院では、手術まで3ヵ月以上待つこともありますが、当院ではお急ぎの方、緊急を要する方に関しては、なるべく早く、1ヵ月以内に白内障手術をできるようにスケジュールの調整を検討します。まずはお気軽にご相談ください。
白内障は治る?
白内障は、現在では治療によって日常生活に支障をきたさないレベルまで視力を回復することが可能な病気です。
白内障の治療法は症状の進行具合によって異なります。症状が軽度な場合には、点眼薬などの薬物療法によって進行を抑制することができます。その他にも、食事習慣の改善や運動習慣の取り入れ、睡眠の改善などを行うことも、白内障の予防や進行の抑制には重要です。
症状が重度の場合には、手術治療が検討されます。
白内障は手術しないで治すことができる?
薬物療法は症状の進行を抑制するための対症療法のため、白内障そのものを根治させることはできません。白内障は水とタンパク質で構成される水晶体の成分が変性を起こすことで白く濁る病気であるため、一度変性してしまった成分を薬によって元に戻すことはできません。
白内障そのものを治療するには、外科手術によって濁った水晶体を人工の眼内レンズに取り替える必要があります。
白内障は早期治療が重要です
白内障は緑内障と異なり失明のリスクは低い病気ですが、放置すると稀に失明へと至ることもあるため、注意が必要です。また、水晶体の濁りが進行すると、水晶体融解性ぶどう膜炎へと進行して激しい痛みを伴ったり、水晶体が膨張して急性緑内障を引き起こすこともあります。
白内障は、病状が進行すればするほど手術も困難になり、手術後に合併症を引き起こす可能性も高まります。そのため、気になる症状が現れている場合にはできるだけ早い段階で眼科を受診し、早期発見・早期治療に繋げることが重要です。