視力・屈折検査
視力検査は実際に対象物をどのくらい鮮明に見ることができているかを調べる検査で、屈折検査は近視や遠視、乱視などがないかどうかを調べる検査です。順番としては、まずは機械で屈折検査を行い、その検査結果を元に視力検査を実施して総合的に目の状態を確認します。
Spot® ビジョンスクリーナー
スポットビジョンスクリーナーとは、近視や遠視、乱視などの屈折異常や斜視を起こしていないかどうかを調べる検査機器です。特に斜視や遠視、乱視がある場合には、放置すると弱視へと進行する恐れがあるため、注意が必要です。
スポットビジョンスクリーナーは生後6ヵ月頃から測定可能な上、1mの距離から検査を受けるので、患者さんの負担も少なくスムーズに検査を行うことができます。
眼科の気球は何を見ている?
オートレフ・ケラトメーター(他覚的屈折検査)とは、気球の絵を使用して目のピント調節機能を促し、近視や遠視、乱視などの屈折異常の有無を確認する検査です。気球の絵を用いている理由としては、人間は遠くを眺めている時が最もリラックスしながらものを見ている状態であり、遠くの気球の絵を用いることで検査の際に患者さんがリラックスして検査をできるようにするためです。
眼圧検査
眼圧とは眼球の内側からかかる圧力のことで、眼圧検査とは眼圧の程度を測定する検査です。目の病気の中には、初期症状として眼圧が向上する場合があるため、この検査によって隠れた目の病気を早期発見することが可能となります。
目の病気の多くは初期の段階では自覚症状に乏しいことから、定期的に眼圧検査を行って自身の目の状態を把握しておくことを推奨しています。
なお、現在ステロイド点眼薬を使用している場合には、副作用によって一時的に眼圧が上昇することがあります。この場合、眼圧の上昇が薬によるものであるのか、何らかの病気によるものであるかを鑑別する必要があります。
眼底検査
眼底検査とは、視神経の形状や網膜の状態を詳しく確認することができる検査です。緑内障や網膜色素変性症、黄斑変性症、糖尿病網膜症などの病気は網膜に深刻なダメージを与えることが多いため、この検査によってこれら重篤な病気を早期発見することができます。
また、高血圧や脂質異常症、高尿酸血症、糖尿病などの生活習慣病を発症している場合、動脈硬化によって全身の血管が損傷を受けるため、眼底検査によってこれら生活習慣病を早期発見することも可能です。
眼底検査の結果、網膜の毛細血管の異常を指摘された場合には、目だけでなく全身のあらゆる場所で同様の異常が起きている可能性があります。そのため、眼底検査は心筋梗塞や脳梗塞のリスクを調べる際に行われることもあります。
なお、眼底検査の際には散瞳薬という薬を使用するため、検査後4~5時間は視界がぼやけたり光をまぶしく感じるなどの症状を引き起こします。そのため、眼底検査を受ける日には車や自転車の使用は控えていただき、ご来院の際には公共交通機関を利用するようお願いいたします。
光干渉断層計(OCT)
光干渉断層計(OCT)とは目のCT検査と呼ばれているもので、網膜を輪切りに撮影して状態を詳しく確認することができる検査です。検査ではSwept Sourceという方法を使用し、造影剤を使わずに比較的短時間で網膜の構造や脈絡膜の循環を時系列で確認することが可能です。
なお、当院が導入している光干渉断層計(OCT)には、OCT AngiographyやFAF(眼底自発蛍光)などの機能を搭載しています。今までは造影剤を使用して糖尿病網膜症などの毛細血管の状態や毛細血管瘤を評価していましたが、OCT Angiographは造影剤なしでも糖尿病網膜症などの状態を安全に評価することができる、最新の検査です。また、FAF(眼底自発蛍光)は眼底検査だけでは評価が困難な、網膜色素上皮細胞内にあるリポフスチンを映し出すことで、網膜色素上皮の機能を評価できます。
眼底カメラ
眼底カメラとは、目に強い光を当てることで眼底の状態を確認する眼底検査機器です。検査時間は短時間な上、痛みも伴わないことから患者さんに負担をかけることなく検査を行うことができます。運転で来院しているため、どうしても散瞳検査ができない場合にも使用します。
なお、検査の際には必要に応じて散瞳薬を使用する場合もあります。
細隙灯顕微鏡検査
細隙灯顕微鏡検査は、眼表面や眼内の状態を詳細に調べることが可能な検査です。目に様々な明るさや太さの光を照射したり、色々な種類のレンズを使用することで、眼球の傷や涙の状態、白内障の程度・眼底・隅角の状態などを詳しく確認することができます。
視野検査(静的視野計・動的視野計)
視野検査とは緑内障の早期発見や進行の程度を評価するための検査です。
静的視野検査と動的視野検査の2種類があり、緑内障の程度や患者さんの状態によって使い分けます。
当院では、最新の静的視野計であるアイモvifaという機器を導入しています。
通常の視野検査は片目をアイパッチという眼帯を貼って検査を行うため、皮膚が敏感な患者さんはテープで皮膚が荒れてしまうことがありました。しかし、アイモvifaは両目をあけた状態での検査が可能なため、アイパッチを貼る必要がありません。
また、アイモvifaは最新のアルゴリズムを用いて、両目を同時に検査することで、今までの静的視野検査よりも短時間で検査を行う事が出来ます。
白内障手術の検査・機械
VERION™(ベリオン)
VERIONとは、白内障手術を正確に行うために用いる医療機器です。手術前の検査の際にベリオンを使って切開位置やトーリック(乱視)軸、眼内レンズ固定位置を投影しておくと、手術中はこれらをデジタルマーカーでガイドさせることで正確に手術を行うことができます。VERIONの導入により、従来は経験や目測で行っていた白内障手術の精度は飛躍的に向上しました。
ARGOS®(アルゴス)
ARGOSとは、眼軸長を正確に計測することができる医療機器です。角膜や水晶体、硝子体はそれぞれが異なる屈折率を持っていますが、ARGOSはこれら組織の屈折率をセグメント方式で算出することで、正確な眼軸長を計測することができます。
このARGOSによって採取したデータは、前述のVERIONに自動的に反映されて手術顕微鏡に投影されます。これにより、眼内レンズの度数を正確に決定することが可能となり、従来に比べて手術精度を大幅に向上させることができるようになりました。
Constellation® Vision System(コンステレーションビジョンシステム)
Constellation® Vision Systemとは、白内障手術と硝子体手術を同時に行うことができる最新鋭の手術システムです。大学病院や中核病院で使用されていることが多く、眼内レーザーやシリコンオイル注入、ガス注入など硝子体手術に必要な機能を搭載しています。
当院では、25ゲージシステム硝子体手術という方法を採用しています。これは、0.4mmほどの微小な穴を3か所開ける手術法で、手術中の痛みなどの負担をほとんど伴わずに手術を行うことが可能です。
LuxOR® Revallia™
LuxOR® Revallia™とは手術時に使用する、眼科手術用の顕微鏡です。
手術中のあらゆる場面で鮮明な視界を確保できるため、より安全に効率的に手術を行うことができます。
また、BIOMという硝子体手術用広角観察システムを使用することによって眼底を正確に観察しながら安全かつ高精度な硝子体手術を行うことができます。
低濃度笑気ガス麻酔
低濃度笑気ガス麻酔とは、手術時の痛みや不安感などの患者さんの負担を軽減する目的で使用する麻酔ガスです。手術の際には低濃度の笑気と高濃度の酸素を混合したガスを鼻チューブから吸入していただきます。ガスは必要最低限の麻酔効果量に調整されているため、呼吸困難や血圧低下、意識低下などを起こさずに安全に手術を行うことが可能です。